floating points @ WWW X
展開・構築美の音楽だった。数式や建築様式が美しい、っていう感覚に近い。均整の取れたギリギリのバランスで成り立ってる理系の音楽。floating points。衝撃的なステージを目撃してきた。
Todd Terje @恵比寿リキッドルーム
Todd Terjeを知ったのは今年1月にOAされたサカナクションの「Night Fishing Radio 」だった。ゲストで佐藤吉春さんというクラブミュージック専門レコードショップの代表の方が出演なさっていて、その時にInspector Norse を流していた。
これを聞いて、これ自分でもイケるんじゃ?と思った。クラブミュージックなんて音楽ツウか遊び好きの為っていう先入観があったけど、ああ、そうでもなさそうだ、と。こんな取っ付きやすい曲もクラブミュージックっていうんだ、と意外に思った。
この時、クラブミュージックに対する敷居が下がったのだった。そして、リキッドでART-SCHOOLを見に行った時に置いてあったチラシで来日すると知り、思い切って飛び込んでみた。
所謂ロキノン系バンド以外のワンマン行ったの初めてだった。集まる人も、雰囲気も、見慣れたものとは全然違った。開場30分後くらいに入場したけど、フロア最前に2〜3列しかできてない。まじか。がら空きのフロアでは、DJの音楽に合わせて5〜6人が各々のパーソナルスペースで踊って体を温めてる。ストリート系の兄ちゃんがダンスキメてる。さらに後方、柵エリアでは、ゆっくりお酒を飲みながらウォームアップするオトナたちの姿が。カルチャーショックだった。パリピの巣窟に足を踏み入れたのかと心がザワザワする。
ART-SCHOOL 木下理樹生誕祭@WWW
フライングVの調子が悪くなるっていうアクシデント発生。理樹さんが「はあ.....今日気合い入れて来たんですよ....」って両手を腰に当てて言ったとき、やるせなさそうだった。でも、ボロボロになりながらも歌い、音を鳴らすっていう姿に、ART-SCHOOLの真髄を見たような心地がした。理樹さん誕生日おめでとう。美しかったです。
tacica tour 2016 “&rooms” @静岡UMBER
【セトリをにおわせる表現が出てきます。ツアー未参加の方はご注意ください。】
tacica tour 2016 “&rooms” @静岡UMBER 行ってきた。tacicaさん、大好きです!!!!!
そして静岡UMBER、小ささ&見やすさが半端ない。あなたの好きなバンドがここに来ることがあったら、ぜひ。幸せをお約束しましょう。
さて。アルバムHEAD ROOMSを引っ提げての今ツアー、セトリは、アルバム曲を中心に組まれていました。加えて比較的新しい曲と、しっとり聞かせるレア曲がミックスされていた印象。意外だったのは、アンコールの形式。まさか弾き語っていただけるとは.....涙 一曲目は驚きの選曲。ふわふわ。からの、二曲目。この流れ、完全に涙腺クラッシャーだった。今ツアーの個人的ハイライト。
今のtacicaは以前と比べたら穏やかな一面も見せつつ、相変わらずの芯の強さと熱量。熟してるなぁと感じてます。ツアーではお馴染みの、疾走感あふれる昔の曲たちがセトリから外されてるほど、今回のアルバム曲が衝動に満ちてる。そして、優しいレア曲たちがひょっこり現れて、ニンマリ顔が止まりませんでした。歓喜した。
あとMCの後に闇深い曲をぶち込んでくる、それが、良い\(^o^)/ 一言だけ「よろしく」って言う、言葉少ないMCもSUKI。あと、「また来るよ」って言ってくれたのが嬉しかった。「また来てね」じゃなくて。
tacicaのライブは日常を持ち込んでもよいと思ってる。ライブ見るってのはハレの日なんだけど、日々の出来事を全部忘れなくていい。辛いことが歌詞に引っ張られて出てくるから、ライブ見てても日常を思い出す瞬間がある。だけど、ライブ後、その辛いことが少し軽くなるし、いつの間にか充電されて、内側から力が満ちてくる。tacicaのライブはすり減ったものを取り戻すためにあると、思っています。
あと、狩人と獣の間に流れる緊張感、そんな言葉が浮かんでくるのがtacicaのライブ。命と真正面に向き合う時間。身じろぎできない瞬間。言葉で、音で、射止められるのです。
本当に続けてくれてありがとうございます。いつまでたっても鳴り止まないでね。
【MCとか ※言い回しはうろ覚え】
〜ご当地〜
「みんな『さわやか』には行った?....(会場を見回す)....tacicaです」
「静岡市、に来るのは初めてかな」
「浜松と対立とかしてるの?(微笑)」←わかる
〜バンドの今〜
「ライブが楽しくて」
「ツアー楽しく回ってます、みんなのおかげです、ありがとう。(一息で)」
「....まだバンドやれるなって思いました」
「また曲を作って、録音して、CD出して、ツアーもあると思うから。よろしく」
〜グッズ紹介〜
猪狩さんがグッズ紹介飛ばそうとする→誰も止めない→お客さん「\ザワザワ/」→猪狩さんニヤニヤ→お客さん「(笑)」
小西さん「いや止めない方がいいかなって」
「パーカー、ツアー中寒くなると思って作ったんですけど....今日そうでもないよね」
「ニットキャップも作ったんだけど....まあそういうこともある、やっちゃったな」
小西さん「今回限定Tシャツを作ったんですけど」
後方お客さん「 \へぇ〜〜!/ 」
小西さん「(視線上げて)ありがとうございます」
小西さん「限定Tシャツ、静岡は.....」
女性のお客さん「\きいろー/ \きいろー/」
小西さん「.....黄色。」←ゴールドと迷ったらしい
グッズ紹介の間、ちょっと今はOFFみたいな感じで、猪狩さんがピックを口にくわえて(休んで?)いらっしゃるところを拝んでしまった^///^
〜いつもの〜
布ステッカーについて
「この前、高崎かな。『やっと右もらえました!』って人がいた(笑)」
「ありがとうしか言ってないんだけど。....ありがとう。」
「また来るよ。」
ルーツミュージック研究 - syrup16gとThe Smithsの4曲を比較
モリッシーが来日してたのを昨日知りました。もう遅えかねえ。
モリッシーとは80年代UKロックバンドの代表格、The Smithsのフロントマンです。かつて筆者がsyrup16gのインタビューやら何やら読み漁っていたとき、syrup16gは日本のスミスだと言われていますがどうですかみたいなインタビューがあったのをきっかけに、The Smithsというバンドを知った。
詳しい人が聞いたらそう聞こえるんだシロップって、と思い、興味を持って少しずつ漁っていった。すると洋楽素人からしてみても「ザ・スミスのエッセンスがシロップに流れ込んでいる」というのは確かに感じ取れるものだった。
そこで今回は「あっこれシロップの元ネタ?」というThe Smithsの楽曲を挙げてみます。もし読者の方にザ・スミスやモリッシーの熱狂的なファンの方がいらっしゃると、いかに勉強不足か伝わってしまいそうですが、さっそく。
1) Bigmouth Strikes Again – 落堕
バックで軽やかに刻まれ続けるギター、細いけど確かに聞こえる繊細な音。そして0:50あたりからのカッコつけるぜ感満載のリフ。2:09あたりで一瞬現れるちょっと歪んだギターの音はシロップファンには「あれっこの感じ…!?」というデジャヴ感。聞いてニヤニヤしてください。
2) What Difference Does It Make? – I Hate Music
跳ねるテンポに肩が揺れる。繰り返されるギターのフレーズが印象的な曲。ぐいぐいと演奏がすすんでいく、この推進力もポイントかな。歌詞を見るに自分の元を去っていく女性への「愛憎」なんかがテーマになっている印象です。この曲と「音楽大っ嫌い」と叫ぶミュージシャンが作った曲が似てる(主観ですが)ってのは、偶然にしては意味ありげ。
3) Please, Please, Please, Let Me Get What I Want – ハピネス
疲れた人間を優しく癒すかのようなギターのキラキラした音に胸が締め付けられる。天国が見えそう。この曲は二分もないんだけど、哀愁が心臓にどっと流れ込んでくる。疲弊し、力尽きた人間が最後に欲しがるものは何なんだろう、そんなことを考えてしまう一曲。センシティブエモーション系マイマインドになっちゃうね。
4) I Started Something I Couldn’t Finish ー 真空(ライブ映像「患者」より)
イントロの5秒を聞いてください、これに尽きる。そして、患者の真空のイントロでギターをかきむしり、患者たちを焦らす五十嵐さんを思い出してください。
五十嵐さんにとって「終わらせることができないもの」が音楽であり、syrup16gであってほしいなー、なんて曲タイトル見ながら思った次第です。
ちなみに去年シロップも出演したthe telephonesのラストパーティーでは、dustboxの前にThe Smithsがかかってて(There is A Light That Never Goes Outだったかな)、サカナクションの前にはThe Cure のFriday I’m in Loveで、テレフォンズ80s好きだな~と内心ニヤニヤしてたのを思い出しました。
「この曲あのバンドの曲に似てる」っていうのは不毛な論争ではあるけれど、それとは別に、ルーツミュージックを探ることはとても面白くて、音楽の聴き方を広げてくれると思います。邦楽ロックから入った人も、好きなバンドのルーツミュージック探る目的で洋楽も聞き始めたらもっと音楽ライフが楽しくなるよ。経験者として、おすすめします。
午前二時という歌詞に彩られた楽曲たち~邦楽ロック9曲を分析
月日や時間が歌詞の中に出てくる歌は、その時に合わせて聞きたくなったりしますよね。今だと、フジファブリックの赤黄色の金木犀を聞きながら、たまらなくなって帰り道を歩きたくなったり。来月はTHE ORAL CIGARETTESのハロウィンの余韻あたりが盛り上がってくるかな。
今回は中でも時間に注目して、歌詞に「午前二時」が出てくる曲に注目してみました。「午前二時」と聞いて、今、あなたの脳内に流れてきた曲も、入っているかも?
午前二時という歌詞は、2010年代の邦楽ロックバンドの楽曲でいくつか見受けられる。具体的に楽曲と収録アルバムのリリース年月を挙げてみると
OWL /ストレイテナー(2010)
表参道26時/ サカナクション(2010)
ベルリン/ People in the box(2010)
アワーミュージック/ 相対性理論+渋谷慶一郎(2010)
二次元グラマラス/ 空想委員会(2011)
Noah / androp (2011)
Fool’s Gold / tacica (2013)
No.8 / The Cheserasera (2015)
そして、忘れちゃいけない一曲がこちら。
午前二時 フミキリに 望遠鏡を担いでった
(天体観測 by BUMP OF CHICKEN)
午前二時って「フミキリ」を導く枕詞なんじゃないかってくらい、その言葉を印象付けた一曲「天体観測」は2001年のリリース。00年代で午前二時が出てくる曲って天体観測以外にあるのか…!?もしあれば、ぜひご一報ください。
以上9 曲を並べてみたところで、素朴な疑問。それは「午前二時にみんな何してるの?歌の中で何が起こってるの?」っていうことです。そこで、天体観測以外の8曲を3つに分類してみました。
1)夜の街に遊ぶ – ストレイテナー / サカナクション
いつもと違う欠け方をしてる 午前2時の月の光は ビルの間を擦り抜けて飛ぶ 梟たちの陰になって見えないぜ
(OWL /ストレイテナー)
苦笑いして 握りしめた手には汗 表参道の26時が過ぎてく
(表参道26時/ サカナクション)
この二曲のキーワードは「夜の街」。街も夜の顔、主人公たちも夜の顔。テナーは闇夜に遊ぶ人々を”Owl-like Creatures”と、夜の狩人フクロウになぞらえています。これから「彼」も電話を受けて、冴えた目になり、体も覚醒して、Owl-like Creaturesの仲間入りをするわけですね。ストレイテナーのOWLは、調べていて出会った曲なんだけど、アルバムの冒頭曲でした。ずしっとしたビートにコーラスが乗っかって、堂々とオープニングを飾る曲です。
表参道26時は、小説的な視点で男女の心のすれ違いを歌った一曲。ちょっと渋いバーなんかのカウンターで話してる「二人」が浮かぶ。鳴り響くサイレンのようなイントロから始まるこの曲はライブでも披露されることがあって人気ある曲だよね。間奏は「246左折そう聞こえた~246左折~」と歌っているらしい。厳密には歌詞に午前二時って出てきませんが、特別枠で載せちゃいます。。筆者は魚民ですから。。
2)一人の世界で思索-People in the box / tacica / 空想委員会
そんな言葉の手紙を 読まないで破り捨てた午前二時
刻一刻と駄目になる自分は真夜中に現れる
(Fool’s Gold / tacica)
午前2時の友達
遠く離れた裸の秘密警察
明日には僕はここにいない
(ベルリン/ People in the box)
ふと気を抜いた瞬間 思考と思考の間に
今夜も君のことを思い出した午前2時
(二次元グラマラス/ 空想委員会)
三者三様の物思いがあるようです。tacicaとpeopleだけれど、この歌どう解釈できるんだろうなって考えるだけで朝になりそう。ムズい。Peopleに関しては「小さい子供が描いた絵本の内容がめちゃくちゃ終末感漂ってて狂気感じる」みたいな印象を持ってます。つまり、無垢なゆえに恐ろしいものを平気で描いてしまう残酷さのようなものを歌詞から感じるってことです。
空想委員会はもう会えなくなった「君」を思って、まだ癒えていない傷跡を思い出しているようです。”恋愛低偏差値バンド”の空想委員会にこう歌われると、男子の女々しさとか情けなさがフォーカスされるね。
3)恋人と共にーandrop / 相対性理論+渋谷慶一郎 / The Cheserasera
朝が来れば別の道 君と一緒午前二時 君の涙に触れる 呼吸をする空気も見えなくて
(Noah / androp)
ロマン街道横目でチラリ 月曜の午前二時
三つ編みがはずむほど 千のルート探してる
(アワーミュージック/ 相対性理論+渋谷慶一郎)
午前二時 黒い陰 引き出して踏みつけて泣いた 君がもう忘れてた 恋の傷だった
(No.8 / The Cheserasera)
二人の間に流れる柔らかな時間は、午前二時という言葉によって悲しくなったり、愛おしさが増したり。andropのNoahは、くぐもった音の感じと、身を預けられるような心地よいテンポが、二人だけの空間っぽさを増幅してとても切ない。ラジオで録音して音質の落ちたNoahを二人で聞いてるんじゃないか、みたいな妄想が止まらない。少女漫画のような二人です。
続いてアワーミュージック、これはやくしまるえつこさんのボーカルが浮遊感を生んで、静かな夜を満たしてくれます。気ままな女の子と「ダーリン」の愛おしい日常、ちょっと背伸びした休日が思い浮かぶ一曲。
No.8はThe Cheserasera(ケセラセラ)の中でも一、二を争う泣きのセンチメンタル美メロではないかなぁ、大好きな曲。Vo>の宍戸翼さんは、バインとかシロップが好きみたいです。倦怠感を持ちながら日々を過ごし、ああ、でも僕にはこの人がいるんだった、あるいはあの人がいたんだった、と、真夜中にふと思い出したときに聞きたい。
いかがでしたでしょうか?午前二時を迎えると、いよいよ深夜帯に差し掛かって日常と切り離された感覚になるのは自分だけでしょうか。この断絶感あるいは高揚感が、午前二時という言葉には秘められているのでは。なかなか眠れない夜には、今回紹介した曲たちをお供にしてみてくださいね。
何故tacicaが好きなの?と聞かれたら
tacicaファン、君たちは一体普段どこにいるんだ。
今回は、筆者が敬愛するtacicaについて語ります。tacica初心者様には「宇宙兄弟とかハイキューとか、ナルトの主題歌やってた人たちだよ」とひとまず親近感を持ってもらうべく紹介しておきましょう。ロキノン育ちの方には「一部のtacica好きな人はBUMP OF CHICKENも聞いてる。あとバンドは、peopleとかノベンバと親交がある。」とイメージを持ってもらいましょう。ハイキューからtacicaを知ってくれた方には、筆者から2ndアルバムを「このアルバムのタイトル何て読むと思いますか?」と言って渡したいところです。
そう、tacicaファンの頭を悩ませるもの。タイトル・歌詞に頻発する謎の難解ワード。2ndアルバム「jacaranda」読めん。「人鳥哀歌」読めん。「某鬣犬」読めん。「γ」読めん。そして恐る恐る歌詞を読む。全然わからん。インタビューほぼ受けないから曲の解説を本人たちから聞くことも叶わん。
「でも.....なんかいいな.......タイトルに動物がよく出てくるのも可愛いな......あと一曲に一つ、イメージイラスト付いてるのも芸が細かくていいな..... 」
tacicaファンなら誰しもが一度通ってきた道ではないでしょうか。「歌詞の漢字が読めねえ!日本語なのに全然わかんねぇ!でもなんか...心が奮い立つ...!!」その気持ちがあって、あなたもわたしも、すくすくとtacicaファンに育ったんですよね。というのは筆者の一方的な思いです。
「何でそのアーティストが好きなんですか?」と聞かれたとき色々な答え方があるけど、tacicaの場合は、例えば「哲学する音楽だから」って答えが似合う。2nd〜4thアルバムは、歌詞に関して言えば、濃い霧に包まれているかの如く難しい。だが、難しい問題に正解を与えられたら、思考は停止する。tacicaはファンに「正解」を答えてしまうのを控え、自身の楽曲で「哲学する」ことを勧めているかのように見受けられる。実際、tacicaは雑誌インタビューをほぼ受けない。
tacicaの世界では、全員が納得する分かりやすい答えは用意されていない。歌詞の意味も、タイトルの意味も、分からないまま月日が経つ。だが、思考すること、哲学すること、走り続けること。それこそがtacicaの音楽であり、哲学なのだ。「tacicaの曲に支えられている」そう感じるのは、tacicaの曲を通して、あなたが自分だけの答えを掴み取ったからだ。答えを見つけたのは、あなたなのだ。
おまけ
tacicaに心を開いてもらうには、これくらいしないとダメなんだぜ?