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D.A.N. TOUR 2019 "BEND"@恵比寿LIQUIDROOM (2019.6.27)

都会人は憂鬱をどうやって晴らしているのか、その答えがリキッドルームにあった。

 

D.A.N.は都会人のチルアウト、という印象が強い。先日6/11に「人と音楽」というフジテレビの番組でサカナクションの山口一郎さんが、D.A.N.Poolという曲を紹介していたけれど、その際に「染みる」という言葉でD.A.N.を形容していた。まさに! 

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音楽には多種多様な楽しみ方があるけれど、D.A.N.のそれは、いかに平熱でチルするか、ということにウェイトがあるような気がしている。熱狂的に騒ぐとか、熱量を持ったカタルシスではなく、夜のブルーの海の中で、くらげみたいに融解寸前まで透き通って、ふわりふわりと踊る、そんなイメージなのである。

 

だが。ミドルゾーンのPendulumTempestReplicaの流れを体感した時に、D.A.N.はミドルゾーンをこの布陣にするんだ…と、今のD.A.N.の本質をちらりと見てしまった気がした。中盤のセトリをどう組むかって、バンドのスタンスがかなり出ると思う。焦燥感を煽るような、ずっと頭の中の落ち着かない精神状態がビートになったような曲を2曲投下された後に、Replicaでほっとして、センチメンタルな精神世界に帰還する。終始クールにチルっているだけではなく、人間の揺らぎまでも汲み取って、その上で昇華させる、なんだか意外にも人間臭いというか、青さを感じたのだった。

 

今回の恵比寿公演を見た人なら、誰しも大歓喜したパートは、終盤のDiveBorderlandNative Dancerではないだろうか。BPMを上げて、スペイシーな表情に生まれ変わったDiveに踊らされて、BorderlandからシームレスにNative Dancerへ移行し、音圧も上がっていて、小林うてなさんの歌声が合わさった瞬間の多幸感たるや。ここが世界の中心~~~って思うやつ。最高ね。

 

本編はここで終了、だったのだけど、アンコールでChancePoolを披露。大悟さんが「恵比寿の夜はミストサウナ」って歌詞を変えていたところにグッときてしまった。

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 都会には息が詰まることも沢山あるけれど、こんな夜があるから、東京に来て良かったと思う。都会のメランコリックをチルアウトしたい時には、東京生まれのフリをしてD.A.N.を見る。冷たい地下室みたいな空間で揺れて、自我の境界線を無くして、夜に溶けて。