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floating points @ WWW X

展開・構築美の音楽だった。数式や建築様式が美しい、っていう感覚に近い。均整の取れたギリギリのバランスで成り立ってる理系の音楽。floating points。衝撃的なステージを目撃してきた。

時に、焦りさえ覚えるほどの音の洪水に溺れて頭が真っ白になった。「アゲる」のではなく「引きずり込む」ような音楽。海底火山のような静けさと不穏さ、そして爆発が何度も繰り返された。

円形のスクリーンにレーザーで立体図形が描かれていく演出は知的だった。曲が展開するにつれてレーザーで描かれた線が増え、重なっていくため、徐々に描かれている図形が何なのか分かってくる。曲が組み立てられていくにつれて図形も構成され、最後に曲と図形の全体像がはっきりし、立体感を持って迫ってくる、というわけだ。
 
音が重なって曲になる、線が重なって図形になる。この共通項の落とし所を表現したかのような演出は、視覚と聴覚、両方に訴えかけ、相乗効果でパフォーマンスを底上げする力となっていた。
 
floating points のライブを見て、ふと胸をよぎったのはサカナクションサカナクションのライブからポップとエンターテインメント、そして言葉を間引き続けたら、floating pointsのようになるのでは、と妄想が広がった。
 
そう、floating pointsはサカナクションにも影響を与えているであろう音楽なのだ。彼らのことを知ったきっかけも、サカナクションのインタビューとか一郎さんのツイッターのスクショ投稿だと記憶してる。
 
アーティストが何を見て、感じて、どうエッセンスを抽出してるのか....その"原料"に触れるのは生々しい。時にそのミュージシャンに対する絶対性が揺らぐことだってあり得る。
 
でも、抽出したものが何だったのか、それをどう加工しているのか、その過程を探ることが、そのアーティストらしさを紐解く鍵になると信じている。
 
もしサカナクションがfloating points から何かを抽出しているとしたら、形式美や、視覚と聴覚の相乗効果だろうか。そして、加工だが、エンタメ要素を加えて「アゲる」ことや、言葉で心情を描いて、個人の物語とリンクさせる「歌」としての効果、といったところか。こうして、自身のアイデンティティに還元しているのだと解釈した。
 
floating points 見て、サカナクションってロックバンドでポップなんだってめちゃくちゃ思った。あと言葉なんだ、って。floating points が好きなフロントマンが、サカナクションをやるってことの意味は何なんだろう。サカナクションでやりたいことって何なんだろう。そんなことを考えずにはいられなくなった。