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Syrup16g tour 2016 HAIKAI @Zepp Tokyo(2016.12.14.)

ライブ記録 syrup16g

ライブ本編も終盤、coup d’Etatの前、ミント色の涼しい照明の中、五十嵐さんはギターを鳴らしながら、ほぼ全く聞き取れない、叫びに近いMCをしていた。辛うじて「音楽だけは楽しい」「もうちょっと一緒に遊んでいってください」そんな言葉をギターの間から拾い上げた。

音楽というフィルターを一枚挟まなければ自由に人と対することができない、彼らしい行為だと思った。別に聞いてほしい、分かってほしい、そういった思いの込められた言葉ではなかったのだろう。聞こえた人が拾ってくれれば、その人の中で理解されれば、こちらからは何も「伝えやすく」配慮する、言語コミュニケーション化する必要はない、と。

確かに、今日のライブに、お客さんとsyrup16gの間に整えた言葉は過剰だった。だって今日は音楽を、syrup16gの音楽を聴きに来ているのだから。今日は「そういうひと」同士の集まりなのだから。

大樹ちゃん「来てくれてありがたいね、っていう話を、楽屋でがっちゃんとキタダさんとした訳じゃないですけど、(2人とも)そう思ってると思います」

Father’s Day~Missing~Murder you know~タクシードライバー・ブラインドネスは今ツアーのセトリの見せ場だった。

Father’s Dayの、煙をこれでもかと焚いて水色の照明と合わせ、ストロボを不定期に点滅させる幻想的な演出は、穏やかな死を連想させ、走馬燈のようだった。Missingでは、ピンクと緑の照明をぶつけて不穏な雰囲気を醸し、ブレイクのところでは真っ赤な照明でキメる。

Murder you knowでは一転、温かみのある黄色の照明で舞台を包み、円錐形に白い光を放つ。そして大樹ちゃんの親し気なMCを挟んで、タクシードライバー・ブラインドネスではイントロと同時に、一気にステージが真っ赤な照明に染まる。

この流れが。めっちゃくちゃかっこよかった。曲目としても、静・動・美がそれぞれに詰まっててシロップの良さが多面的に見られる並びだと思うし、新しく生まれた曲たちのバリエーションの豊かさを改めて感じた。何よりMCの後のタクシードライバー・ブラインドネスはずるい!笑。五十嵐さんも、ギターをストロークさせながら、内心では「してやったりー」とニヤっとしてたんじゃないかと勘繰ってしまう。

ライブ中盤、Share the lightで大樹ちゃんの鬼スイッチが入って、立ち上がり、叫び、シンバルを殴り、めっためたにたいこを叩きまくり、こちらも高まらずにはいられない\(^o^)/

My Love’s Soldでは渦巻く感情がほとばしり、爆発し、熱量を十分に上げてからの神のカルマ。マキさんのベースがフロアを酔わせ、ブレイクでサテン地の黒い幕を落とすアレは最高だった。ヤバい薬が血管に打ち込まれたみたいな快感だった。黒い幕には黄色い三角形が円形に配置されてて、トゲトゲした幾何学的な模様が浮かび上がり、うごめいていた。

ここから本編終盤までは、もう意識が朦朧とするくらいに「動脈」のシロップを堪能した。Deathparadeがこのセトリ終盤、古い曲に挟まれた位置にあったんだけど、かなりハマってた。

アンコールは正常、続いて不眠症をやってくれて、昏睡状態のような、穏やかで病的な心持ちになる。正常では神のカルマの時の黄色いトゲトゲが再び登場してた。

あとやってない曲なんだろ…と息を切らしていたところにSonic Disorderがきて、テンションがぐんっと上がり、お客さんからも小気味よいヤジが上がる。

この長めのイントロで弾く五十嵐さんのギターが、とてもとても80sを感じさせる音色で、というかThe Policeなのが愛しい。この音色も、この音色を好んで弾いてる五十嵐さんも好きすぎる。彼の中にある80sを感じて胸がいっぱいになる。

とか思ってたらいきなり舞台袖で五十嵐さんが何かを受け取り、まさかの水鉄砲ぶっ放し始めたのは急展開すぎた。両手に水鉄砲持って、フロア左・中央・右と、各方面に噴射。このへんから五十嵐さんが躁モードに突入して、キレにキレて覚醒してた。

水鉄砲をギターに持ち替えて、落堕の、あの眩暈がするようなリフを弾き始める。ぴょんぴょん跳ねて頭ぶんぶん振って、トランスしてんじゃないかと。でも本能のままに楽しそうで、この人に音楽があって良かった、と心から思った瞬間でもあった。

真空では暴力的な音を鳴らしてギターを掻きむしり、大樹ちゃんと音でじゃれ合って戦う。大樹ちゃんが「ドンッ!」てやると、がっちゃんは「ジャキッ!!」と間髪入れず応戦する。それが5~6回続く。ドキドキしながら見守るお客さん。この場にいられてよかったと、昔から応援してる人たちは、またシロップのライブが見られてよかった、と思っていたのではないだろうか。

その後五十嵐さんは「長距離走るの嫌い!!大嫌い!!!」と絶唱しておりました。

「最後までたどりつきました」とMCした後に、ダブルアンコールでRookie Yankeeを演奏。強くエフェクターのかかったベースの音がビリビリと空気を震わせる中、一日目が終了していった。余韻を引きずるように終演を知らせる場内アナウンスに拍手が起こっていた。